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〈青森市メールマガジン〉
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こんにちは。歴史資料室の村上です。
先日、八戸市美術館で開催されている企画展「風のなかを飛ぶ種子 青森の教育版画」を観に行きました。この企画展は1950年代から90年代にかけて展開された「教育版画運動」の流れを受け、青森県内で行われた版画教育の実践を紹介するものです。
「教育版画運動」は教育者・版画家の大田耕士(おおた・こうし 1909−98)が中心となって進めた運動で、「版画を学校教育の中に正しく普及する」ことを目的としていました。大田は恩地孝四郎や平塚運一ら教育に関心を持つ版画家たちの協力を得て、昭和26年(1951)に日本教育版画協会を立ち上げ、機関誌の刊行やコンクールの開催によって運動を全国へと拡大していきました。青森市出身の版画家・関野凖一郎も理事として協会の活動に携わっており、昭和29年に開催された第1回全国版画教育研究大会(主催:日本教育版画協会)ではエッチング実習の講師を務めたといいます(国際浮世絵学会編集委員会 編『浮世絵芸術(11)』国際浮世絵学会 1965年)。
企画展の中心となっているのは八戸市内の中学校に勤務した坂本小九郎(さかもと・しょうくろう)の指導により制作された作品です。地域で働く人々の姿や身近な自然に目を向けたものから、ファンタジーの世界を表現したものまで、幅広いテーマの作品を観ることができます。映画「魔女の宅急便」(監督:宮崎駿)の劇中画のモデルになった「星空をペガサスと牛が飛んでいく」を含む「虹の上をとぶ船」シリーズ(制作:八戸市立湊中学校養護学級生徒)は、全9点を一堂に展示しています。全作品の展示は青森県内では20年ぶりのことだそうですよ。
さらに、この企画展では青森県の版画教育の礎を築いた人物として今純三を取り上げています。今は昭和2年から昭和8年まで青森県師範学校で図画科の教員を務め、版画指導を行っていました。また、美術家を志す若者たちが今のアトリエを訪ね、指導を受けていたといいます。先に紹介した関野も今のもとで銅版画・石版画を学んでいます。会場には今から指導を受け、版画教育に携わった佐藤米次郎や下澤木鉢郎の作品も展示されています。
企画展は令和7年(2025)1月13日(月曜日・祝日)まで行われますので、足を運んでみてはいかがでしょうか。
※今回の内容は『新青森市史』通史編第四巻(2014年 青森市)、江渡益太郎『青森県版画教育覚え書』(1979年 津軽書房)、白い国の詩編『東北の子ども版画』(1995年 東北電力)などを参考にしています。
《問合せ》
青森市民図書館 歴史資料室
青森市新町一丁目3番7号
TEL:017-732-5271
電子メール: rekishi-shiryo@city.aomori.aomori.jp
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